📘 第3章 第12回 CPS(設定ソフト)の基本操作
~ DMR無線機に”命を吹き込む”ソフトウェア活用術!~
🗣 はじめに
前回(第11回)で、コードプラグの設計を「紙の上の5条件×N行の表」として整理しました。今回はその表を、実際にCPSの画面に1行ずつ入力していきます。
前回作った紙の条件表を手元に用意して、画面を見ながら作業を進めましょう!
🖥 CPSってなに?
CPS(Customer Programming Software)は、無線機の設定をPCから行う専用ソフトです。
CPSを使えば、前回紹介したコードプラグ(周波数・TG・ゾーンなど)を無線機に書き込むことができます。
DMR無線機は設定項目が多く、手動操作では困難 or 不可能なため、CPSの使用は必須と言ってよいでしょう。
📦 代表的なCPSソフトと対象機種
| メーカー | 無線機 | CPSソフト名 |
|---|---|---|
| AnyTone | AT-D878UVII Plus、AT-D578UV | CPS(AnyTone専用) |
| TYT | MD-UV380、MD-9600 | TYT Programming Software |
| Radioddity | GD-77 | CPS for GD-77(オープンソース版 OpenGD77 CPSも人気) |
| Baofeng | DM-1701 | DM-1701 CPS |
| BelFone | BF-TD588UV-JA | BelFone CPS(日本語対応) |
| RADTEL | RT-4D | RT-4D CPS(ファームウェアとの組み合わせに注意) |
⚠️ ファームウェアとCPSの互換性に注意!
CPSを使う上で見落としがちなのが、ファームウェアとCPSソフトウェアの組み合わせによる互換性問題です。無線機のファームウェアバージョンと、CPSのバージョンが合っていないと、
- 書き込みや読み出しが正常にできない
- 設定データが正しく反映されない
- コードプラグファイルの互換性がなくなる
といった問題が起きることがあります。
📌 とりわけ RADTEL RT-4D はこの問題が顕著です。ファームウェアのバージョンによってCPSの対応バージョンが変わるため、必ずセットで確認・管理することが必要です。
🔄 ファームウェアは最新版を導入することが望ましい
RT-4Dに限らず、すべてのDMR無線機において、ファームウェアは原則として最新版を使用することが推奨されます。最新版には不具合修正や機能改善が含まれており、安定した運用につながります。
🛑 ただし、ファームウェアアップデートにはリスクが伴う
ファームウェアのアップデートは慎重に行う必要があります。手順や設定を誤ると、無線機の動作に不具合が生じたり、最悪の場合は起動しなくなる「文鎮化」が起きることもあります。
アップデート前の注意点:
- 必ず公式サイトから正規のファームウェアを入手する
- 現在のファームウェアバージョンと対応CPSバージョンをメモしておく
- アップデート中は電源を切らない・ケーブルを抜かない
- アップデート後は対応CPSのバージョンも合わせて更新する
- 事前にRead from Radio でコードプラグをバックアップしておく
⚠️ 文鎮化した場合、メーカーサポートへの送付修理が必要になることがあります。リスクを十分に理解した上でアップデートを行ってください。
🛠 事前準備
✅ 必要なもの
- Windows PC(CPSは基本的にWindows専用)
- 無線機(電源OFFで接続)
- USBプログラミングケーブル(製品付属または別売)
- 各メーカーの公式WebサイトからCPSソフトとUSBドライバをダウンロード
💡注意:必ず無線機の型番に合ったバージョンを使ってください!古いバージョンや別機種用のCPSを使うと、設定が崩れる可能性があります。
💡 ちょこっとコラム:CPSの言語対応
ほとんどのDMR無線機CPSは英語インターフェースです。最初は戸惑うかもしれませんが、使う項目は限られているので、慣れれば問題ありません。
主な英語用語:
・Channel → チャネル
・Talk Group → トークグループ
・Zone → ゾーン
・Read from Radio → 無線機から読み出す
・Write to Radio → 無線機に書き込む
・Color Code → カラーコード
・Time Slot → タイムスロット
📌 日本語マニュアルや解説サイトを併用すると安心です。BelFone BF-TD588UV-JA等の国内代理店経由の機種は、日本語サポート付きで安心ですね。
🖱 CPS操作の流れ(AnyTone AT-D878UVII Plusの例)
Step ①:ソフトを起動 → 設定ファイルを作成 or 開く
- 初回は空白のコードプラグが表示されます
- すでに作成済みの .rdt ファイルがある場合は「Open」で開きます
🛡 重要:まずは現在の設定をバックアップ!
新しいCPSを使うとき、または既存の無線機に新しいコードプラグを書き込むときは、必ず以下を実行してください:
- Read from Radio で現在の設定を読み出す
- Save As で別名保存(日付付きが推奨) 例:「JJ2YYK_20260529_backup.rdt」
- その後、新しいコードプラグの作業を始める
これをやっておけば、書き込み後に問題が起きても「前の状態」に戻せます。
Step ②:基本設定(General Settings)
| 項目 | 設定内容 |
|---|---|
| Radio Name | あなたのコールサイン(例:JI2TAB) |
| DMR ID | あなたのDMR ID(7桁の数字) |
| Power-On Message | 起動時メッセージ(任意) |
📌 DMR IDは1人1個。第1章第5回で取得した自分のDMR IDを正確に入力します。
Step ③:トークグループ(Talk Group List)
メニューから「Digital → Talk Group」を選択し、使いたいTGを番号・名称で登録します。(例:44120 / Japan Nationwide)
代表的なTG例:
| TG番号 | 名称(推奨) | 用途 |
|---|---|---|
| 9 | Local | ローカル交信 |
| 91 | Worldwide | 世界共通 |
| 440 | Japan | 日本ゲートウェイ(国際向け) |
| 44120 | Japan Nationwide | 日本国内QSO |
| 168 | JJ2YYK Owariasahi | 尾張旭デジピータ |
| 9990 | Echo Test | エコーテスト |
📌 名称は半角英数字で記入するのが無難です(無線機の画面表示用)。日本語対応のCPSならカナや漢字も使えますが、機種により表示が崩れることがあります。
Step ④:チャネル(Channel)
「Channel Information」で周波数・TG・TSを指定します。
例(自宅ホットスポットで日本国内QSO):
| 項目 | 値 |
|---|---|
| Channel Name | BM Japan Nationwide |
| RX Frequency | 438.71000 MHz |
| TX Frequency | 438.71000 MHz |
| Channel Type | Digital |
| Color Code | 1(運用先のCCに合わせる) |
| Time Slot | TS2(ホットスポット経由のため) |
| Contact Name | Japan Nationwide(TG44120) |
| TX Power | Low / Mid / High |
📌 RX=TXの周波数 → シンプレックス(ホットスポット経由)の場合。デュプレックスのレピータを使う場合は、RXとTXで異なる周波数を設定します。
📌 Slotは経路で決まります:
・デジピータ経由 → TS1が一般的(運用先の指定に従う)
・ホットスポット経由 → TS2が一般的
Step ⑤:ゾーン(Zone)を作成
「Zone Information」で、複数のチャネルを1つにまとめます。
例:
・ゾーン1「自宅HS」:BM日本国内、BM世界、Echo Test
・ゾーン2「尾張旭」:JJ2YYK Owariasahi、Local
・ゾーン3「移動用」:各地のデジピータ
📌 前回(第11回)で説明したとおり、ゾーンは無線機側のメモリ整理機能です。通信には影響しないので、自分が使いやすいルールで分けてOK。
Step ⑥:無線機との接続・読み書き
| 操作 | 説明 |
|---|---|
| Read from Radio | 現在の無線機設定を読み出す(バックアップに) |
| Write to Radio | 作成したコードプラグを無線機へ書き込む(メイン) |
📎 USBケーブルを接続し、「COMポート」が正しく選ばれていることを確認しましょう。
書き込みの手順:
- 無線機の電源を入れる(一部の機種は電源OFFで接続)
- USBケーブルでPC接続
- デバイスマネージャーでCOMポート番号を確認
- CPS側で同じCOMポートを選択
- 「Write to Radio」を実行
- 完了まで触らない(途中で切断すると文鎮化リスク)
- 完了後、無線機を再起動
⚠ 書き込み中は絶対にUSBケーブルを抜かない!無線機の電源を切らない!
🧩 よくあるつまずきポイント
| トラブル | 対策 |
|---|---|
| USB接続が認識されない | ドライバ再インストール/別ポート使用/別のUSBケーブル |
| COMポートが見つからない | デバイスマネージャーで確認、ドライバ更新 |
| 書き込みエラーが出る | 無線機の電源を一度切って再接続/別のCOMポート選択 |
| 書き込んだ設定が反映されない | 書き込み後は再起動/ゾーンがアクティブか確認 |
| 一部のチャネルが動作しない | TG番号、TS、CCが正しいか再確認 |
| 「Read from Radio」できない | 無線機の電源状態、ケーブル接続、CPSバージョンの確認 |
💾 設定ファイルは必ず保存しよう!
ファイル形式はメーカーごとに異なります:
・.rdt(AnyTone)
・.dat(TYT)
・.cps(Radioddity)など
🛡 バックアップのコツ
✅ 書き込み前後で別ファイルを保存
例:「before_20260529.rdt」「after_20260529.rdt」
✅ 設定変更ごとに日付付きでバージョン管理
例:「JJ2YYK_v1.0_20260501.rdt」
「JJ2YYK_v1.1_20260529.rdt」
✅ クラウドストレージにも保存
Google Drive、Dropbox等にバックアップ
これをやっておけば、無線機の故障時や別の機体に移行するときに、すぐ復旧できます。
✅ まとめ
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| CPSは必須 | DMR無線機の設定にはCPSが必要 |
| 順番がカギ | TG → チャネル → ゾーンの順で登録 |
| バックアップ | 書き込み前に必ず Read from Radio で保存 |
| 言語 | 英語が基本(用語に慣れれば大丈夫) |
| 書き込み | USB接続→COMポート確認→Write to Radio |
📌 第11回で作った「条件表」を、CPSの各画面に1行ずつ入力していけば、コードプラグの完成です!

▶ 次回予告
ここまでで、DMR無線機側の設定は完成しました!でもDMR運用には、もう片方の「ホットスポット」も必要です。
次回は「📡 Pi-Star/WPSDの初期設定」を解説します!Raspberry Piを使ったホットスポットの心臓部、Pi-StarやWPSDの初期設定手順を、わかりやすくガイドします!
📝 執筆:JI2TAB(尾張旭DMRデジピーター 管理人)
🏢 JJ2YYK あいちデジタルコミュニケーションハムクラブ