第4回の付録記事①「HotSpot構築ガイド:機材選びから運用開始まで」

第4回 「RF ⇔ HotSpot ⇔ ネットワーク:自宅から一歩踏み出す」 では、HotSpotの概要と魅力をご紹介しました。この付録記事では、もう一歩踏み込んで 「実際にHotSpotを構築したい方向け」 の詳細情報をお届けします。
※昨今、部材が高騰し、入手が難しくなっています。私の手持ちが数個ございます。MMDVM(ケース+OLED)+RaspberryPi Zero2W(6,500円送料別)でよろしければお分け可能です。メールでお問い合わせください。(jj2yyk[at] gmail.com)


機材選びのポイント、具体的な購入先、組み立て手順、初期設定、つまずきやすい点まで、これを読めば自宅に自分専用のHotSpotが作れる ――そんな実践ガイドを目指しました。少し長めの記事ですが、必要な部分だけ拾い読みしていただいても大丈夫です。
📋 目次
- HotSpotに使えるRaspberry Piの種類
- MMDVMボードの選び方
- アンテナと周辺機器
- SDカードとOS書き込み
- Pi-Star と WPSD の比較
- 組み立て手順
- 初期設定(WPSDの場合)
- 無線機側の設定
- 運用開始後のコツ
- トラブルシューティング
- コスト試算の例
① HotSpotに使えるRaspberry Piの種類
HotSpotの「頭脳」となるRaspberry Piには、いくつかのモデルがあります。目的や予算に応じて選びましょう。
🔹 Raspberry Pi Zero 2 W(超小型・低価格)
- サイズ:65mm × 30mm(ガムパッケージサイズ)
- 価格:Amazon 約3,500円~4,000円以上
- 消費電力:非常に少ない
- Wi-Fi:内蔵(2.4GHz)
- おすすめ用途:個人用のシンプルなHotSpot
メリット:とにかく小さくて安い。コンパクトなケースに収まります。
デメリット:処理能力は控えめ。多モード同時運用には向きません。
🔹 Raspberry Pi 3 Model B+(バランス型)
- サイズ:85mm × 56mm(クレジットカードサイズ)
- 価格:Amazon
- Wi-Fi:内蔵(2.4GHz / 5GHz)
- おすすめ用途:安定志向の方、Pi-Star/WPSDの標準構成
メリット:情報量が豊富で、トラブル時の解決策も見つけやすいです。
デメリット:やや大きく、消費電力もZero 2 Wより大きめ。
🔹 Raspberry Pi 4 Model B(高性能)
- サイズ:85mm × 56mm
- 価格:Amazon 約8,000〜12,000円
- Wi-Fi / Bluetooth:内蔵(デュアルバンド)
- おすすめ用途:HotSpot以外にも色々な用途に使いたい方
メリット:処理能力が高く、将来的な拡張にも余裕があります。
デメリット:HotSpot単体用途には過剰な性能。発熱も大きめ。

💡 初めての方へのおすすめ
初めてHotSpotを作るなら、Raspberry Pi Zero 2 W が最もコンパクトでコストも抑えられるのでおすすめです。安定志向なら Pi 3 Model B+、将来的に他の用途でも使いたいなら Pi 4 という選び方が分かりやすいでしょう。
② MMDVMボードの選び方
MMDVM(Multi-Mode Digital Voice Modem)ボードは、Raspberry Piとアマチュア無線を橋渡しする重要な部品です。DMRの信号を扱うのはもちろん、モデルによってはD-STARやYSFなど複数方式に対応しています。
🔹 主な種類
- MMDVM Hat(シングルバンド):UHF(430MHz帯)のみまたはVHFのみに対応。安価で入門向け。
- MMDVM Hat(デュアルバンド):VHF/UHF両対応。アンテナも2本分。
- MMDVM Duplex Hat:送信と受信で別々のモジュールを搭載。同時送受信(フルデュプレックス)が可能。
🔹 選ぶときのポイント
- シングル or デュプレックス:個人用途ならシングルで十分です。デュプレックスは本格運用向け。
- 対応バンド:お使いの無線機に合わせて、UHF(430MHz帯)用を選ぶのが一般的です。
- アンテナコネクタ:SMAコネクタ搭載のものが多いです。変換アダプタを用意しておくと便利。
- LCDディスプレイ:小さな液晶画面付きのモデルは、動作状況が目で見て分かるので便利。
- TCXO搭載:温度補償水晶発振器(TCXO)搭載モデルは、周波数の安定性が高くおすすめ。
🔹 購入先の例
- Amazon:「MMDVM Hat」「MMDVM Hotspot」で検索。中華系の製品が多いですが、入門用には十分。
- AliExpress:より安価に入手可能。納期は1〜3週間ほど。
- 国内ショップ:秋月電子、スイッチサイエンスなど一部で取り扱いあり。

※ 購入時は、Raspberry Piのモデルとの互換性(Zero用/標準サイズ用)を必ず確認してください。
③ アンテナと周辺機器
🔹 アンテナ
HotSpotに使うアンテナは、送信出力が10mW〜数十mWと非常に小さい ので、ゲインの高い大型アンテナは必要ありません。むしろ、以下のような小型アンテナで十分です。
- ホイップアンテナ:10cm〜20cm程度の小型タイプ。MMDVMボードに付属していることも多い。
- SMAコネクタ対応:ほとんどのMMDVMボードはSMAコネクタを採用。
- 帯域:430MHz帯(UHF)用を選びましょう。
アンテナは無線機のすぐ近く(数メートル以内)に置くだけで十分なので、性能にこだわる必要はほぼありません。
🔹 ケース
Raspberry PiとMMDVMボードを保護するケースもあると便利です。熱がこもらないよう、通気性のあるものを選びましょう。アクリル製の組み立て式ケースは安価で見た目も良く、LCDの視認性も確保できます。
🔹 電源
Raspberry Piの電源は、以下の規格を満たすものを選んでください。
- Pi Zero 2 W:5V / 1.5A以上
- Pi 3 Model B+:5V / 2.5A以上
- Pi 4 Model B:5V / 3A以上(USB Type-C)
スマホ用のACアダプタでも動作しますが、安定運用のためにはRaspberry Pi公式電源アダプタの使用が推奨 されています。電源不足は動作不良や再起動の原因になります。
🔹 LANケーブル(任意)
有線LANで接続する場合は、Raspberry Pi 3/4を使用します(Zero 2 Wは有線LANポートなし)。Wi-Fiが不安定な環境では有線接続の方が安心です。

④ SDカードとOS書き込み
🔹 SDカードの選び方
- 容量:16GB以上を推奨(32GBなら余裕あり)
- 速度:Class 10 / UHS-I 以上
- ブランド:SanDisk、Samsung、Kioxiaなどの信頼できるメーカー品を選ぶと安心です
※ 安価なノーブランドSDカードは、書き込みエラーや突然の故障が起こることがあります。HotSpotは24時間稼働させることが多いので、信頼できるカードを選ぶことが長期運用の秘訣です。
🔹 OSの選択:WPSD or Pi-Star
HotSpot用のOSには、主に WPSD と Pi-Star の2つの選択肢があります。どちらもPi-Starのコードをベースにしており、基本機能は共通していますが、それぞれに特徴があります。詳しい比較は 次のセクション をご覧ください。ここでは、どちらを選んでも書き込み手順はほぼ同じです。
🔹 WPSDのダウンロード
WPSD(W0CHP Pi-Star Dashboard)の公式サイトから、最新のイメージファイルをダウンロードします。配布形式は .img.zip などの圧縮ファイルです。
※ダウンロード先やバージョン情報は、W0CHP公式サイト をご確認ください。
🔹 Pi-Starのダウンロード
Pi-Starの公式サイト(https://www.pistar.uk/)から、最新イメージをダウンロードします。Raspberry Piのモデルによって使用するイメージが異なるので、お使いのモデルに合ったファイルを選んでください。
🔹 書き込みツール
SDカードへの書き込みには、以下のソフトウェアが便利です。
- Raspberry Pi Imager(公式ツール、Windows/Mac/Linux対応)
- balenaEtcher(シンプルで使いやすい、Windows/Mac/Linux対応)

いずれも、ダウンロードしたイメージファイルを選び、SDカードを指定して「Flash(書き込み)」を押すだけの簡単な操作です。書き込みには5〜10分ほどかかります。
— あいちデジタル通信ハムクラブ JJ2YYK