第5回「RF ⇔ HotSpot ⇔ XLXリフレクタ:もうひとつの世界」
前回の 第4回「RF ⇔ HotSpot ⇔ ネットワーク:自宅から一歩踏み出す」 では、HotSpotを使って自宅からTGIFやBrandMeisterなどのDMRネットワークに参加する方法をご紹介しました。
今回は、DMRの世界に存在する もうひとつのネットワーク――XLXリフレクタ についてのお話です。TGIFやBrandMeisterとは少し違う仕組みで、DMRだけでなくD-STARやYSFといった他のデジタル方式ともつながる、とても面白いシステムです。
🌐 パターン5:RF ⇔ HotSpot ⇔ XLXリフレクタ とは?
XLXリフレクタは、「マルチプロトコル対応の中継サーバー」 と呼ばれる仕組みです。インターネット上にあるサーバー(リフレクタ)に、世界中のHotSpotやデジピータが接続して音声をやり取りします。
前回までのパターンと同じように、あなたの無線機から出た電波はHotSpotで受けられ、インターネット経由でXLXリフレクタに届きます。リフレクタは同じモジュールに接続している他のHotSpotやデジピータに音声を配信し、そこから電波として各地の局に届けられます。

🔤 「モジュール」という考え方
XLXリフレクタの特徴のひとつが、「モジュール」 という概念です。ひとつのXLXリフレクタは、内部に複数の部屋(モジュール)を持っています。モジュールはA〜Zのアルファベットで区別されます。
- モジュールA:メインルーム
- モジュールB:サブルーム1
- モジュールC:サブルーム2
- モジュールZ:JJ2YYKが接続しているモジュール(例)
前回までのトークグループ(TG)と同じく、同じモジュールに入っている局同士が会話できる 仕組みです。XLXでは、モジュール選択を 「リンク」 と呼びます。

🔀 XLXの最大の魅力:マルチモード対応
XLXリフレクタがTGIFやBrandMeisterと大きく違う点は、複数のデジタル方式を「橋渡し」できる ところです。具体的には:
- DMR(Digital Mobile Radio)
- D-STAR(Icom系のデジタル方式)
- YSF(Yaesu System Fusion、八重洲系のデジタル方式)
- M17(オープンソースの新しいデジタル方式)
たとえば、あなたがDMRで話した音声が、同じモジュールに接続しているD-STARの局にも届きます。方式の壁を越えて交信できる のがXLXの最大の魅力です。これは「DMRユーザーだけで閉じない」というオープンな思想に基づいています。
📡 JJ2YYKとXLX834
JJ2YYK尾張旭DMRデジピータは、XLX834のモジュールZ に接続しています。TGIF(TG 168)とXLX834の両方に対応しているので、どちらの経路からでも尾張旭につながることができます。
XLX834には、モジュールZ以外にもさまざまなモジュールがあり、時間帯や曜日によってはQSOで賑わっていることもあります。ワッチするだけでも、DMR・D-STAR・YSFの各方式が混在する独特の雰囲気を体験できます。
✅ この方式のいいところ
- 方式を越えた交流:DMRユーザーだけでなく、D-STARやYSFのユーザーとも交信できます。
- モジュール単位での運用:目的ごとに部屋を分けて運用できるので、用途別に使い分けできます。
- ダッシュボードが分かりやすい:XLXリフレクタは専用のウェブダッシュボードがあり、誰が接続しているか、誰が話しているかをリアルタイムで確認できます。
- オープンな運営:多くのXLXリフレクタはアマチュア無線家によって自主的に運営されており、技術交流の場にもなっています。
⚠️ この方式の注意点
- モジュール選択の切り替え:目的のモジュールに正しくリンクする必要があります。
- 他方式のマナーを尊重:DMRだけでなくD-STAR/YSFの局も参加しているので、それぞれの運用慣習に配慮しましょう。
- 音質の違い:方式間のブリッジでは、音声コーデックの変換が行われるため、音質がわずかに変化することがあります。
- 設定項目がやや複雑:HotSpot側でXLXリフレクタへの接続設定が必要です。初期設定は少し手間がかかります。
🛠️ HotSpotからXLX834に接続するには
WPSDなどのHotSpotソフトウェアから、XLXリフレクタに接続する手順はおおむね次の通りです。
- ダッシュボードから「Configuration」画面を開く
- 「XLX Master」として XLX834 を選択
- 「Startup Module」に接続したいモジュール(例:Z)を指定
- 「Time Slot」を選択(通常はTS2)
- 設定を保存して再起動
詳しい手順については、当クラブの XLX接続手順 の記事をご覧ください。
💡 こんな場面で使えます
- D-STARやYSFの仲間とも幅広く交信したい
- 複数モードを持っている局と話を合わせたい
- XLX834モジュールZで尾張旭の仲間と交流したい
- マルチモードの運用スタイルを体験してみたい
- クラブ内でDMR/D-STAR/YSFが混在している
🌱 「方式の壁を越えるネットワーク」
アマチュア無線のデジタル通信方式は、長らく 「DMR派・D-STAR派・YSF派」 と分かれていました。それぞれに独自のネットワークがあり、お互いに交信するのは難しい状態が続いていたのです。
XLXリフレクタは、この壁を技術で乗り越える試みです。「どの方式を選んだか」ではなく、「同じモジュールで話したいか」 で仲間がつながる――そんな新しいDMRの楽しみ方が、ここにあります。
ぜひ一度、XLX834 モジュールZをワッチしてみてください。DMRとは少し違う、オープンで多彩な世界が広がっているはずです。
📚 次回予告
第6回は 「デジピータ ⇔ デジピータ:多段リンクの仕組み」 のお話です。JJ2YYK尾張旭とJJ2ZAR多治見のような、デジピータ同士を直接つなぐ「多段リンク」の仕組みと、その活用方法をご紹介します。
— あいちデジタル通信ハムクラブ JJ2YYK