第1回「RF ⇔ RF:いちばんシンプルな交信」
DMRを始めようとすると、「トークグループ」「デジピータ」「リフレクタ」「HotSpot」…と、次々に新しい言葉が出てきます。DMRの奥深さに触れるほど、どこから手をつけていいか分からなくなってしまう方も多いのではないでしょうか。
そこでこの「DMRの通信パターンを知ろう」シリーズでは、DMRの通信の形を シンプルなものから順に 一つずつ紹介していきます。全部で7つのパターンを取り上げる予定です。第1回の今回は、いちばん基本の 「RF ⇔ RF」、つまり無線機同士の直接交信のお話です。
🎯 このシリーズの全体像
まずは、これから紹介する通信パターンの一覧です。下に行くほど「設備」や「ネットワーク」の要素が増えていきます。
- RF ⇔ RF ← 今回はここ
- RF ⇔ デジピータ ⇔ RF
- RF ⇔ デジピータ ⇔ ネットワーク
- RF ⇔ HotSpot ⇔ ネットワーク
- RF ⇔ HotSpot ⇔ XLXリフレクタ
- デジピータ ⇔ デジピータ(多段リンク)
- PC/スマホ ⇔ ネットワーク(RFを使わない形)
見ていただくと分かる通り、DMRで一番シンプルな形は、無線機2台だけで成立します。ネットワーク接続も、デジピータも、HotSpotも要りません。まずはここから始めましょう。
📡 パターン1:RF ⇔ RF とは?
「RF」は Radio Frequency、つまり電波のことです。「RF ⇔ RF」とは、無線機から出した電波を、相手の無線機が直接受信する というシンプルな形のことを指します。アマチュア無線の世界では 「シンプレックス通信」 とも呼ばれます。

FMの直接交信と考え方は同じです。違うのは、電波に乗っている信号が デジタル(DMR方式) だというだけです。
✅ この方式のいいところ
- 設備がシンプル:DMR対応の無線機が2台あれば、それだけで交信が成立します。
- ネット環境が不要:インターネットも、デジピータも必要ありません。
- 本来の無線の楽しみ:電波を出し、電波を受ける。無線の原点を体感できます。
- 設定がかんたん:周波数とカラーコード、スロット、トークグループを合わせるだけ。
⚠️ この方式の注意点
- 通信距離は電波の届く範囲まで:ハンディ機同士なら数百メートル〜数キロ、モービル機なら数キロ〜十数キロが目安です。
- 障害物に弱い:UHF帯(430MHz帯)を使うので、建物や山の陰では届きにくくなります。
- 相手が必要:当然ですが、同じ周波数でワッチしている相手がいないと交信できません。
🛠️ 設定のポイント
両方の無線機で、以下の項目を合わせる必要があります。
| 設定項目 | 例 | 備考 |
|---|---|---|
| 周波数 | 438.790 MHz など | 送受信とも同じ周波数(シンプレックス) |
| カラーコード(CC) | CC1 | 両局で同じ値にそろえる |
| タイムスロット | TS1 | シンプレックスでは TS1 を使うのが一般的 |
| トークグループ(TG) | TG99 など | ローカル用のTGを使う |
| Admit Criteria | Always | デジピータ用の設定ではないので注意 |
※ 使用する周波数は、アマチュアバンドプランに従ってお選びください。DMRシンプレックスでよく使われる周波数については、別の回で改めてご紹介する予定です。
💡 こんな場面で使えます
- ハムフェアやイベント会場で、仲間同士の連絡用に
- 移動運用で、同行メンバーとの交信に
- 自宅周辺で、DMRの動作確認テストに
- デジピータや HotSpot を導入する前の 「まず試してみたい」 とき
🌱 まずはここから
DMRは奥深い通信方式ですが、最初の一歩は 「無線機2台で電波を出してみる」 ことで十分です。トークグループもネットワークも、その先にあるものです。
まずは、お手元のDMR無線機で 電波を出してみませんか? 同じクラブ仲間やご近所のハムさんと、直接交信を試してみてください。きっと「ああ、DMRも無線なんだ」という感覚が得られると思います。
📚 次回予告
第2回は 「RF ⇔ デジピータ ⇔ RF」 のお話です。直接交信では届かないご近所の局と、デジピータを経由してどうつながるのか、その仕組みをご紹介します。
— あいちデジタル通信ハムクラブ JJ2YYK